脚のつかれ、むくみ、肌のつっぱり…その脚の症状、下肢静脈瘤かも?
脚の静脈の病変が原因。女性に発症する率が高い疾患
下肢静脈瘤は、脚の静脈の弁の異常によって起こります。全身を巡った血液は静脈を通って心臓に戻りますが、静脈には血液の逆流を防ぐ弁があります。重力に逆らって下肢(脚の付け根から下)から心臓に向かって血液を送る静脈の弁には大きな負荷がかかるので、弁の機能が壊れることがあります。そうなると血液が両方向に流れて静脈が広がり、ふくらはぎの血管が浮き出たり、重症化すると湿疹や色素沈着、皮膚の潰瘍などの症状が出ることがあります。
また、妊娠中は血液量が増加するので、血管も広がります。プロゲステロンという血管を固くするホルモンの分泌量が増えて弁の動きがにぶくなり、下肢静脈瘤を発症しやすくなります。女性に多い疾患ですが、長時間立ちっぱなしの仕事をする男性にも起こります。命に関わるケースはめったにありませんが、放置すると、重症化したり、痛みが出たりといったこともあります。なによりも見た目が気になる下肢静脈瘤。気になったら、専門医へ。
下肢静脈瘤のタイプ
クモの巣状静脈瘤
網目状静脈瘤
側枝型静脈瘤
伏在型静脈瘤
おもな治療方法
●ストリッピング手術
脚にワイヤーを挿入し、発症を誘発している血管を引き抜いて切除します。最大のメリットは再発の可能性が低いこと。レーザーでは根治が難しい治療にも適しています。症状によっては数日ほどの入院が必要になることがあります。
●硬化療法
ポリドカノールという薬品を注射し、患部を圧迫して原因となっている血管を閉鎖します。有用性が高く、ほかの治療方法に比べて費用が安価で短時間で治療できますが、症状が進行した静脈瘤には効果が期待できないこともあります。
●レーザー治療
静脈にレーザーファイバーを入れ、レーザーによって大伏在静脈と呼ばれる血液の逆流を起こしている血管を閉じます。身体への負担が少なく、日帰りでの治療も可能です。ストリッピング手術に変わる治療方法として浸透しつつあります。
●血管内高周波治療
症状が軽い場合に用いられる治療方法です。レーザー治療に似ていますが、レーザーは光で作用することに対し、こちらは熱で作用することが特徴です。治療後の痛みはほとんどなく、身体にやさしい治療方法といえます。
●弾性ストッキング
症状が軽ければ、手術などをせずに保存的治療を行います。弾性ストッキングは脚にほどよく圧力をかけ、静脈血を心臓に戻しやすくする効果が。市販品もありますが、正しく使って症状をおさえるために、ドクターの指示を守りましょう。
下肢静脈瘤に関するQ&A
保険は適用されますか?
多くのクリニックで保険診療が可能です。生命保険や医療保険に加入しているなら、治療内容によっては日帰り手術に該当する場合も。
悪化すると、がんや脳梗塞になる?
ほかの病気の原因にはなりません。ただし、下肢静脈瘤は進行性の疾患です。「もしかして」と思ったら、すぐに受診しましょう。
エコノミークラス症候群との関連は?
まったく異なる疾患ですが、下肢静脈瘤がある人は、ない人よりもエコノミークラス症候群になりやすいと言われています。
治療方法はどうやって決まる?
エコー検査で血液の流れを確認し、ドクターと相談しながら最適な方法を選択します。早期であるほど治療の負担も軽くなります。
立ち仕事です。予防方法は?
じっと立っていることは避け、できるだけ動くことを心がけてください。就寝時にクッションで足元を高くして休むのもいいでしょう。