整形手術はクセになるって本当?整形依存の心理とは

何十回も美容整形を繰り返したことで知られる海外のスーパースターだけでなく、最近では日本の芸能界でも、自分が「整形依存症」であることを公言するタレントさんが目立つようになりました。

美容整形に興味をもつ人にとって「整形依存症」は最も気になるワード。「整形を繰り返すと顔が崩壊する」という話をよく聞くため、「自分もそうなってしまうのでは?」と不安になり、手術を躊躇している方も多いのではないでしょうか?今回は「整形依存症」に陥る心理について解説しながら、そうならないための予防法をご紹介します。

1度の整形からさらに理想を求めるように

「プチ整形」は大がかりな手術の必要がなく、価格も比較的安価で、整形に対する心理的なハードルも低いため、最近ではメイク感覚で試す人が増えています。その多くの人からは「美しくなりたいという目標が達成され、気持ちも前向きになれた」という喜びの声を聞きますが、自分の理想の美しさに固執するあまりに「仕上がりがいまいち」、時間が経ってからの「もちが悪い」などと感じたり、手術のあと今度は別のパーツも気になって整形を繰り返してしまう例もあるよう。美容整形の技術は日々進歩しており、客観的に見て「美しい顔だち」を完成させることは可能ですが、「整形依存症」の人はそれに満足せず、さらなる美を求めて何度も整形を繰り返してしまいます。

「きれいになりたい」以上に「醜くなりたくない」強迫観念

最近の遺伝子研究で、日本人の約98%が「不安遺伝子」または「恐怖遺伝子」と呼ばれるセロトニントランスポーターS型・SS型を保有することがわかりました。これは日本人が世界一、不安になりやすい民族だということを意味しています。

こうした傾向を強くもつ人にとって、整形手術は「醜くなることへの不安」からの逃避であることも否めません。ですから、手術後の時間の経過とともに気になる変化が現れたり、別の気にいらない箇所が出てくると「思い通りの美しさでないこと」に不安を覚え、「醜くなりたくない」と焦り、最初は1回の手術で止めるつもりだった人がその不安から逃避するように、次から次へと追加で整形し、美の悪化への恐怖心から「整形依存症」になってしまうのです。

引くに引けない、整形依存症を加速させる考え方とは?

また、整形依存症には「コンコルド効果」も関係していると言われます。これはかつて夢の乗り物と言われた超音速旅客機・コンコルドの商業的失敗に由来する言葉で、「ここで諦めてしまったら、これまで自分に投資してきた多額のお金が無駄になってしまう」と、美しくなることを簡単に止めることができず、引き下がれない心理状態を指します。たとえば最初に二重まぶたの手術をした人がそれで満足なら1回で終了。

しかし、コンコルド効果の心理が動いて「せっかく理想の顔に近づいたのだから、鼻もアゴも…」と思い、2回目の整形を計画。2回目の整形でも完全に満足できず、3回目の整形……と何度も何度も整形を繰り返して、気がついたら「整形依存症」を発症させてしまうのです。

行き過ぎや歪んだ美意識による「整形依存症」は、コンコルド効果とあいまって自分で止めるのが難しくなります。なかには「身体醜形障害」という心の病に発展する場合もあり、注意が必要です。

自分の魅力に気づけば、整形依存は克服できる

整形依存症になるのを防ぐには、手術をする前に「自分らしい美しさ」や「自分自身とのつきあい方」を見つけることです。世間で暗黙の共有認識となっている「美意識」の基準と、その通りの自分でないとダメだという思いから離れてみてください。美しくないから人生がうまくいかない、だから整形を繰り返す……という考えや行動が本当に将来の自分を幸せにするか突き詰めて考えてみてください。

もし美容整形をして毎日が楽しくなったり、恋人や友だちができたり、仕事がうまくいったとしても、整形はきっかけにすぎません。「私は外面だけではなく、内面も含めて魅力的」と、今まで見てこなかった自分の魅力や個性に気づけば、外見の美しさや他人からの評価だけに執拗にとらわれ、不安に陥り、整形を繰り返さなくても、自信をもって周りの方々に接することができるようになり、堂々と前を向いて生きていけるはずです。

整形依存にならないために

「整形したいけれど依存症が心配」という人は、実際にクリニックに足を運んで信頼関係を築ける医師を見つけましょう。自分の希望を伝えたうえで、最善の方法を勧めてくれ、それを叶える技術をもった医師ならベストです。複数のクリニックや医師を比較し、より相性のいいところを見つけるのもよいでしょう。

極端に神経質な人や自分の美意識にとらわれがちな性格の人は、整形しても「これで満足」というゴールが見えづらいので、くれぐれも事前に納得してからにしましょう。