目の下のふくらみの正体は?たるんだ「お疲れ顔」を改善しよう!
涙袋ならチャームポイントになりますが、同じ目の下のふくらみでも、目袋は疲れて老けた印象を人に与えてしまいます。「よく寝たのに黒ずんだクマが取れない」と思っていたら、ふくらんだ目袋でできた陰だった……なんてことも。この気になる目の下のふくらみは、どうしてできてしまうのでしょうか?
目袋ってどれ? 涙袋とはどう違う?
涙袋は、下まつ毛のすぐ下にある、目の形に沿ったふくらみの部分です。涙袋の正体は筋肉で、この部分にある眼輪筋がぷっくりと盛り上がっているので可愛らしい印象になり、目が大きく見える効果もあります。
一方、目頭から下へ八の字型に見える、たるんだようなふくらみ、これが目袋です。医学的には「嚢(のう=袋)状下眼瞼」と呼ばれます。もちろん病気ではなく状態を表しているのですが、目袋があると疲れたような印象を人に与えたり、写真を撮ったときに老け顔に映ったりしてしまうので、コンプレックスになりがち。クマのように見える部分はふくらみでできる「陰」なので、メイクで隠すことも難しいのです。
目袋の正体は飛び出してきた「脂肪」だった!
眼球の周りには眼窩脂肪という脂肪が均等に付いていて、クッションのように頭蓋骨の空間を埋めています。目袋の中身は、この眼窩脂肪なのです。
年齢を重ねるうちに、皮膚の表面と、表情を作る薄い筋肉(眼輪筋)のつながりがゆるみ、目の下のたるみが起こります。同時に、眼輪筋や眼球を支えている靭帯の力が弱まるため眼球が下がり、その重みで眼球と目の下の骨(頭蓋骨)との間から眼窩脂肪が前に押し出され、たるんだ部分に目袋ができるのです。ヘルニアの状態を思い浮かべるとイメージしやすいかもしれません。
目元の皮膚は非常に薄くデリケートな部分なので、スマホやパソコンの長時間使用や、目をこする癖などが原因となってハリが失われてしまいます。そのため、若くても目袋に悩む人は少なくありません。
また将来的には、ふくらんで伸びてしまった皮膚が大きくたるんできたり、ふくらみの上下に次第に深い溝のようなシワができたりする可能性が高くなります。
病気が原因の場合もアリ!?
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の特徴的な症状に、眼球の突出があります。これは眼球の周りにある眼窩脂肪や筋肉が炎症によって腫れ、眼球が前に出ている状態なのです。そのため、眼窩脂肪も圧迫されて強く前に出っ張り、目袋ができるケースがあります。目の下のふくらみが気になってクリニックを受診した際に病気が発見される例もあり、その場合は目袋への対処よりも病気の治療が優先されます。
目袋を自分で改善してみよう!
お疲れ顔の改善だけでなく、大きなたるみや深いシワを予防するためにも、目の下のふくらみが気になったらこんな方法を試してみましょう。
・緊張してフリーズした表情筋をほぐす
筋肉は年齢を問わず鍛えることが可能です。筋肉エクササイズの前には、まずこわばっている筋肉をほぐしてあげましょう。普段から表情を豊かにして表情筋を使うように心がけたり、頭皮のマッサージや顔周りのリンパマッサージをしたりすることが効果的です。
・眼輪筋を鍛えるエクササイズ
表情筋をほぐしたら、今度は鍛える番です。お好きなエクササイズを組み合わせて行うと効果がアップします。継続することが大切なので、スキマ時間を利用してこまめにやりましょう。
(1)ウインクエクササイズ
頬骨の上を軽く押さえながら、ウインクをしてみましょう。両眼各10回を1セットとして、1日に数回行います。
(2)半目エクササイズ
鏡の前で、下まぶたが上がっていく動きを意識しながらゆっくりと目を閉じていきます。半分くらい閉じたら、今度はゆっくりと開いていき、これを数回繰り返します。限界までゆっくりと行うことが、筋肉を鍛えるコツです。
(3)8の字エクササイズ
ゆっくりと横に8の字を書くように目を回します。なるべく大きく動かすと効果的です。
・乾燥を防ぐスキンケア
目元は皮脂腺が少なく、水分不足の影響を受けやすい部分ですから、セラミドなどの保湿成分が含まれたスキンケアで潤すことが大切です。眼窩脂肪を取り除くことはできませんが、皮膚にハリがあると目袋が目立ちにくくなります。
美容整形ならどんな方法がある?
目袋を根本的に改善し、半永久的な効果を望む方には、美容整形という選択肢があります。美容整形による目袋改善のために、いくつかの術式が考案されており(代表的な術式として、経結膜脱脂法、下眼瞼形成術、ミッドフェイスリフトなど)、希望の仕上がりや眼窩脂肪の量、皮膚の状態などによってカウンセリングを経て決定します。
・経結膜脱脂法
下まぶたの裏側に小さな穴を開け、余分な眼窩脂肪を取り除き、ふくらみの原因を解消して目袋のボリュームを減少させます。まぶたの裏側のみの切開で、粘膜を縫合する必要はないため、傷跡が残らず、ダウンタイムが短いことが特徴(強い腫れが出るのは3~4日)です。50歳代くらいまでの、皮膚のハリがある程度保たれている人に向いています。
・下眼瞼形成術(下眼瞼リフト)
下まぶたのすぐ下を切開し、突出した眼窩脂肪の処理のほか、余った皮膚の切除や、ゆるんだ眼輪筋の処理なども行います。バリエーションの多い術式で、皮膚を水平方法に吊り上げて目元の引き締め効果を出すことなどもできます。ダウンタイムは比較的長く、内出血や腫れは2~3週間程度続きます。
・ミッドフェイスリフト
下まぶたのすぐ下や、こめかみ付近から切開し、広範囲に剥離して皮膚や筋膜を引き上げて骨膜に固定する方法です。やはりバリエーションが多く、目袋の改善とともに、頬前面のたるみ、ほうれい線、口角などの改善を行うことができます。ダウンタイムは長く、特に目元は強く腫れます。
経結膜脱脂法の費用は? リスクや注意点は?
経結膜脱脂法の場合、費用は両眼で約8万~50万円となり、眼窩脂肪の量などによって変わってきます。施術時間は約30分で、当日帰宅することができますし、抜糸する必要がないため通常は通院の必要もありません。麻酔は点眼麻酔、クリーム麻酔、局所麻酔などを併用します。シャワー浴や洗髪、洗顔も当日から可能です。
・メイク
目元の表面に傷ができないため、アイメイクも当日から可能ではありますが、大きな腫れが引く施術後2日くらいからが推奨されます。
・コンタクトレンズ
縫合しないためゴロゴロすることはありませんが、下まぶた裏側の傷が治癒するまで施術後1週間程度はコンタクトレンズの装用は避けましょう。
・運動・入浴
血流が良くなりすぎると腫れや内出血が強く出やすいため、運動やバスタブに浸かっての入浴は施術後1週間程度は避けましょう。
・リスクについて
腫れや内出血の状態は個人差の大きいものです。術後にアイシングでよく冷やすことや、運動や入浴をしばらく避けること、術中に目に力を入れないことなどで軽減することができます。
また、眼窩脂肪を必要以上に取り除いた場合、目の下がくぼんでしまうことがあります。そうなると、その部分に陰ができ、目袋と同じように疲れて老けた印象になってしまいます。くぼみが生じたときの対応策としてヒアルロン酸注射や脂肪注入などがありますが、完全な回復は困難で、術前のカウンセリングがとても重要です。自分の思い込みだけで突き進むことなく、医師のアドバイスを受け、リスクやデメリットも十分に理解したうえで、理想の目元を手に入れるようにしましょう。